とくせい:ものあつめ

 オタクの習性の一つに「物を集める」というものがある。

 

 大学時代、ネットに転がっているフリーの論文をたくさん集めていた。
 フリーの論文というのは、学術誌に掲載された論文が著者の意向などで、PDFファイルとして無料でダウンロードできるものである。探すのはさほど難しくなく、Googleで「学力 経済 PDF」の様な感じで検索すればすぐ出てくる。
 そうして集めた論文をクラウドとかにアップしておいてそのまま電子書籍風に読んだり、印刷してファイリングしたりしていた。
 まあ集めることに主眼が置かれすぎて、卒業から数年が経っても読めていないものが数知れず…。それでも、興味のある論文をフォルダに揃えるだけで、なんとなく充実感を味わえるものだ。

 

 思い起こせば小学生の時は、ゴミ捨て場のラジカセを持ち帰って親にこっぴどく怒られたことがある。当時直せば使えると強弁したが、やる気はともかく幼い自分に直せるスキルがあるかは別問題で、間違いなくその時には直せない代物だった。アメリカのガレージ文化(車を入れるガレージでいろいろ製作したり発明するやつ)が羨ましかった。

 

 そして、就活時。先輩に勧められて、ストレングスファインダーという自分の強みを調べられるツールを使った。様々な要素のうち上位3つの強みを教えてくれるのだが、自分の結果には見事に「収集心」が含まれていた。それも最上位に。なんでも、収集心が強い人は物事への好奇心が強く、興味がある物や事柄、知識を手に入れていくらしい。まさに文字通りである。

 

 なんなら今ですら、積み本を増やしていくばかり。

 本の購入は知識と物欲を同時に満たせてしまう魔法の手段だ。特にブックオフは自分にとって魔境で、千円札一枚で3,4冊も積み本を増やせてしまう。何せこの様にして、一人暮らしの部屋に文字通りの積み本タワーが完成して引っ越しの際に猛威を振るったのだから……。(通算でダンボール6箱ほど溜めている)何かの拍子に、雑貨屋か古物商か博物館かを開いているかもしれない……。

 

 他にも実家に眠っている大量のミニカーとか、各種文房具とか、収集癖には枚挙に暇がない。それは裏を返せば、断捨離とか整理整頓が苦手なことにも通ずるものがある。

 収集癖と整理整頓というの2つの成分は、人によって相性が良い場合と悪い場合がある。前者はディスプレイするタイプで、集めたものをキレイに飾ることが快感となる。一方、後者は本当に物を集めるだけ。空間は倉庫化してしまう。自分は後者で、なんとも情けない。まあアインシュタインとか偉大な学者とかは部屋が汚かったらしいし……と逃げる。なおそのために人を家に招けないのだが。

 

 ちなみになんでまたこの様な自己分析文章が生まれたかというと、やはり転職活動である。20代も半ばを過ぎ、自分との付き合い方がなんとなくわかってくるようになる中で、それでも仕事と向き合うために自分を構成する要素を吟味し直すためである。転職系の話ではこれを「人生の棚卸し」というそうな。こうして自分の軸を再確認していくんだとか。あ、自分の心の声を~とかいうのはまた別記事にて。

 

 


 ……とりあえず、将来は壁一面に本棚を作ろう。